問題7
あなたは、自分の会社の労務関係の責任者である。白熱した労使交渉のとき、もっとも大きな組合の書記長が次のように声高に主張している。
「この会社は100億ドルの資産、50億ドルの株主資本を持っていて、昨年は4億ドルの利益を上げている。これは組合員の努力によるところが大きいといえる。
したがって、私たちの賃上げの要求に応じられないとは言わせない」。
あなたならこれにどのように回答するか?
「自分の意見」
100億ドルの資産に対して 4億ドルの利益はわずか4%の利益率である。又、50億ドルの株主資本に対し、4億ドルの利益はわずか8%の利益率である。
リスク及び会社そのものが持っている価値を考えると現在の利益水準は適正範囲であり、組合員の方々の努力ももちろん認めるが、賃上げに値するレベルではない。よって今回の賃上げの要求に対しては応じられない。
「本の回答」
組合の書記長は、会計上の利益と経済的利益を混同している。株式投資の50億ドルに対して利益は4億ドルなのでリターンは8%でしかない。
このリターンは低すぎて、会社の成長に必要な新規の投資も今後も行うには魅力的でない。
「次回の問題」
以下は最近人気のあるレストランチェーンのサムンエラズチキンデライトの財務データの抜粋である。
1999年 2000年
純売上高 104 156
売上原価 60 82
減価償却費 20 24
当期純利益 10 16
棚卸資産 12 10
売掛金 20 30
買掛金 12 18
純固定資産 160 168
1)2000年にサムンエライズ社が売上高から回収した現金はいくらか?
2)2000年の製造原価はいくらか?
3)2000年には資産の売却も廃棄もおこなっていないと仮定すると、この年の設備投資はいくらか?
「おまけ」
東京電力の株価がえらいことになっている。ほんとうにありえないことが起こっている今日もストップ安をつけるのか注目である。
いづれにしても、損害賠償の金額が膨大になっているので今後、利益を出すことや、株主への配当は社会的に見て許されないだろう。
津波の規模も想定外であったが、経済的な事象もはるかに想定を超えている。
今後は想定を越えることを想定する必要があるのか?
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