「マネジメントの正統性」
「野球部のマネジメントを二階正義がすることになった。彼は次々とアイデアを出していった。陸上部の小島沙也香に走り方の指導をしてもらい、彼女の能力を生かすのもその一つだった。
そこにはマネジメントの「正統性」があった」
そのような正統性の根拠はひとつしかない。すなわち、ひとの強みを生産的なものにすることである。
こらが組織の目的である。
したがって、マネジメントの権限の基盤となる正統性である。
組織とは、個としての人間一人ひとりに対して、また社会を構成する一人ひとりの人間に対して、何らかの貢献を行わせ、自己実現させるための手段である。
「二階正義にまかせる」
「みなみは正義の打ち出してくるアイデアについて良し悪しを判断しないように心がけた。時には疑問に思うものもないわけではなかったが、それに口は出さずほとんど無条件でその実行を手伝った。
良し悪しを判断するのは自分の役目でないと思っていたからだ。」
あらゆる組織が、事なかれ主義の誘惑にさらされる。
だが組織の健全さとは、高度の基準の要求である。
自己目標管理が必要とされるのも、高度の基準が必要だからである。
成果とは何かを理解しなければならない。
成果とは百発百中のことではない。
百発百中は曲芸である。
成果とは長期的のものである。
すなわち、まちがいや失敗をしない者を信用してはならないということである。
成果とは打率である。
弱みがないことを評価してはならない。
そのようなことでは、意欲を失わせ、士気を損なう。
人は、優れているほど多くの間違いをおかす。
すぐれているほど新しいことを試みる。
「「チーム型」のトップマネジメント」
「みなみは自分の担当以外の分野については、その意思決定を行わないようにした。他のメンバーが担当するうことについては、最終決定権を彼らに持たせたのだ。
そうすることで、自分の負担を減らすことも考えた。自分の担当分野に集中して取り組めるようになった。」
トップマネジメントがチームとして機能するには、いくつかの厳しい条件を満たさなければならない。
チームは単純ではない。
仲の良さだけではうまく機能しない。
人間関係に関わりなく、トップマネジメントチームは機能しなければならない。
①トップマネジメント・チームはそれぞれの担当分野において最終的な決定権を持たなければならない。
②トップマネジメントのメンバーは自らの担当以外の分野について意思決定を行ってはならない。
ただちに担当のメンバーに回さなければならない。
③トップマネジメントのメンバーは仲良くする必要はない。
尊敬しあう必要もない。
ただし攻撃し合ってはいけない。
会議室の外で、互いのことをとうあかく言ったり、批判したり、けなしたりしてはならない。
ほめあうことさえしないほがよい。
④トップマネジメントは委員会ではない。
チームである。
チームにはキャプテンがいる。
キャプテンはボスではなくリーダーである。
キャプテンの役割の重さは多様である。
「最適規模」
「四月になって評判を聞いた、新入部員が大量に入ってきた。マネジメントの観点から、必要以上に部員が増えることは問題があった。」
組織には、それ以下では存在できないという最少規模の限界が産業別、市場別にある。
逆に、それを超えると、いかにマネジメントしようとも反映をつづけられなくなるという最大規模の限度がある。
実は規模についての最大の問題は組織の内部にあるのではない。
マネジメントの限界にあるのでもない。
最大の問題は、地域社会に比較して大きすぎることにある。
地域社会との関係において行動の自由が制約されるために、事業上あるいはマネジメント上必要な意思決定が行えなくなったときに、規模が大きすぎるとみるべきである。
地域社会に対する懸念からその事業に害を与えることが明白なことを行わなければならなくなるなったときには、規模が大きすぎると見るべきである。
しかも急速に拡大しつつある市場、特に新しい市場におおいては、独占的な供給者の業績は、力のある競争相手がいる場合より劣ることが多い。
矛盾とおもわれるかもしれない。
事実、ほとんどの企業人がそのような考え方をとってない。しかし新市場、特に大きな新市場は供給者が一社よりも複数あるほうが、はるかに早く拡大する傾向がある。
「入部希望者をそのまま入部させるのではなく、まずあって話し合い、そのうえで野球部に適さないようであれば、他の部に入部することを勧めた。
みなみにとってこれは難しい作業だった。」
規模の不適切さは、トップマネジメントの直面するも問題のうちもっとも困難である。
自然に解決される問題ではない。勇気、真摯さ、熟慮、行動を必要とする。
「入部希望者との話し合いにみなみは真摯に取り組んだ」
真摯さを絶対視して、初めてまともな組織といえる。
それはまず、人事に関わる決定において象徴的に表れる。
真摯さは、とってつけるわけにはいかない。
すでに身に着けていなければならない。
ごまかしがきかない。
ともに働くもの、特に部下に対しては真摯であるかどうかは二、三週間でわかる。
無知や無能、態度の悪さや頼りなさには寛大たりうる。
だが真摯さの欠如は許さない。
決して許さない。
彼らはそのような者をマネージャーに選ぶことを許さない。
規模は戦略に影響を及ぼす。逆に戦略も規模に影響を及ぼす。
「自己目標管理」
「部が大きくなったために、一人ひとりが自分で目標を管理する必要があった。
もう一度一人ひとりが夕紀と面接をすることにした」
マネージャーたるものは、上は社長から下は職長や事務主任にいたるまでん、明確な目標を必要とする。
目標がなければ混乱する。
目標は自らの率いる部門があげるべき成果を明きらかにしなければならない。
他部門の目標達成の助けとなるべき貢献を明らかにしなければならない。
「集中の目標」
「イノベーションとして出した方針、「ノーバント、ノーボール戦略」を実現するために 練習内容を集中するポイントを決める必要があった」
これらマーケティングに関わる目標については、すでに多くの文献がある。
しかしいずれも、これらの目標が、実は次の二つの基本的な意思決定の後でなければ設定できないことを十分強調していない。
すなわち、集中の目標と市場地位の目標である。
古代の偉大な科学者アルキメデスは、「立つ場所を与えてくれれば世界を持ち上げてみせる」と言った。
アルキメデスの言う「立つ場所」がまず集中すべき分野である。
集中することによって、初めて世界を持ち上げることが出来る。
したがって集中の目標は基本中の基本というべき重大な意思決定である。
【おまけ】
ドラッカーの「マネジメント」を読んでいくうちに自分の会社での経営課題が少しずつはっきりしてきた。
1)コミュニケーションを活性化すること
2)会社の成長、成果に関してフィードバックできる仕組みをつくること
3)必要のない業務を計画的に破棄していくこと
方向性については、まだ多少の修正が必要だが、考えが整理されてきたことは大きな前進だと思う。
具体的内容に関しては詰めていく必要がある、試行錯誤も必要になってくると思う。
今後も継続的に学習を進めていきたい。
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