【問題】
フラッシュバック社はゼロ成長の企業で、1株あたり100ドルの配当をしている。
株主資本コストは15%である。
新社長はゼロ成長のイメージを嫌い、翌年の配当金を50ドルにし、浮いた資金で企業を買収することを提案した。
新社長はこの戦略が、売上高、利益、資産をそれぞれ増加させると主張した。
さらに買収をして2年後以降は配当金を105ドルにできるとも確信していた。
1)企業買収が、売上高、利益、資産の増加をもたらすという主張に同意するか?
2)新社長が提案を発表する直前のフラッシュバック社の1株当たりの価値を推定せよ。
3)提案発表直後の「1株当たりの価値を推定せよ。
4)フラッシュバック社の株主として、新社長の提案を支持するか否か? その理由は何か?
【自分の解答】
1)場合による、必ずしも、企業買収により一株当たりの利益が増加するという確証はなく、2年目以降105ドルの配当を支払えるとしても、受け取れなかった50ドルの配当を穴埋めするために 10年かかる あまり魅力的であるとは言えない。
2)100ドルの配当で資本コストは15%だから、割り戻して、666ドル
3)105ドルの配当を15%で割り戻すと700 ここから受け取れるはずの50ドルを引いて650ドル
4)支持しない 1)で述べたように、確証の持てない2年目以降の105ドルの配当より、確実な毎年100ドルの配当のほうがより現実的で魅力的であるからである。
【本の解答】
1)いかなる場合においても、ある企業が他の企業を買収すれば、買収企業の売上高と資産は増加する。被買収企業が利益を出しているなら同様に利益も増加する。当然のとこである。
2)提案前の1株当たり株主価値=100ドル÷0.15=666.67ドル
3)提案直後の1株当たり株主価値は=50/(1+0.15)+105/0.15/(1+0.15)2=572.78ドル
4)明らかにフラッシュバック社の株主は、社長の計画に反対すべきである。
計画によって企業規模は大きくなるが、株主価値は破壊される。
つまり、計画が実行されると株価は下落することになる。社長の計画の問題は、株主に対して、
15%の機会費用となる資金を使って、10%の収益率(50ドルの投資に対して5ドルの永続的な追加配当は10%の収益率である)しかないベンチャー事業に投資するということになる。
【次回の問題】
アナログデバイス(ADI)社は、マサチューセッツ州のノーウッドにある半導体メーカーである。アナログ社と類似した企業5社の情報を使い1985年12月31日時点のADI社の価値を評価せよ。
アナログデバイス社
純売上高(百万ドル) 119.3
発行済み普通株式数 114.5
EBIT(百万ドル) 163.6
税率 25%
株主資本の簿価(百万ドル) 656.0
有利子負債の簿価(百万ドル) 82.4
類似公開企業との対比いよるアナログデバイス社の評価(1985年12月31日)
アナログ社 バーブラウ社 リニアテ社 マキシム社 シリコニ社 モトローラ社
類似企業とアナログデバイス
社の比較リスク成長率リターン
ROIC 16.6 15.0 25.5 37.9 27.4 12.9
ROE 18.2 16.3 25.5 37.9 26.8 16.1
負債対資産比率(%)34.5 29.0 16.9 22.1 56.6 51.5
5年間の売上高成長 14.3 9.9 32.2 43.1 14.0 20.3
価値の指標
PER 14.2 25.8 18.7 15.2 18.9
企業の市場価値÷[EBIT×(1-税率)] 16.3 26.6 19.4 18.3 24.2
株主資本の市場価値÷株主資本 2.3 6.6 7.1 4.1 3.0
企業の市場価値÷企業の簿価(倍) 1.9 5.6 5.7 2.3 2.0
【おまけ】
今年も半分終わろうとしている。半年間はとりあえずブログを書き続けることができた。
IT技術も可能な範囲で取り入れてきた。
ここで壁にぶち当たっているが、現在の『小さな事の積み重ね』を続けるほかない。
このペースで一年いこうと思っている。
0 件のコメント:
コメントを投稿